小熊英二「日本という国」について。

同じ日に小熊英二を書いてる人のブログでアマゾンでのレビュー評価が極端だと知ったので覗いてみた。
なるほど、この程度で「自虐史観」とヒステリーをおこしますか、彼らは、と感心する。
なんという繊細なプライド!さぞかし人生、生き難かろう。これが「自虐史観」かー、いやはやー。
この本を読ませた中学生の娘に聞くと、「なんで靖国靖国ばっかりいってるか何となくわかった」レベルで、
格別、「ひどーい!」「傷ついちゃった!」なんて感想はない。
昭和天皇の戦争責任について明確に書いてあったことも子供にとってはさほど印象に残ることでもないようだ。
新聞を拾い読みする子なので何故今、靖国だ、平和憲法だ、と論議されているのかよくわからなかったらしい。
私自身はどっちかっていうと所謂昔の「ノンポリ」だし、子供が右に行くにせよ、左に行くにせよ
あらゆる情報を正確にとらえて自分自身で行く道を判断すればいいと思っているので、私自身の感想は交えずに
子供の質問には答えるようにしている。うちには「嫌韓流」も「ゴーマニズム宣言」もあるので
読みたければ読めば、と好きにさせている。でも残念ながら、読めなかったようだ。「これ、マンガと違うし」って、
まーそーだろーねー、小林よしりんはともかく、「嫌韓流」をマンガとして読むようじゃ、日本人として失格だし。
子供心にあっち系は退くものがあるようでむしろ無理矢理読ませたらそっちの方が
「トラウマ」になってしまいそうだ。残念ながら中学生は今「反中!」「嫌韓!」って
キィキィいってる方がよほど「自虐」的にうつるらしい。子供達は案外冷静にものを見ているからね、
少し上の世代が熱くなってるものは馬鹿にしがちだって、「自虐史観がどーのこーの」と言ってる輩は
自分達を振り返ってみればわかりそうなもんなんだけどなあ。
子供にとって印象に残ったのは「義務強育」が「強迫教育」だったって話で、
また1万円札の人がわりにろくでもないことをいうオヤジだったと知って
「なんでこんなこという人がお札の顔になれたの?」と聞かれて弱った。
(「世渡り上手の罪作り」って、言いませんでしたけどね。)
私的には小熊さんが職場の学祖のことをよくまあここまではっきり書いたもんだなあ、と感心した。
それから慶応もなかなか度量があっていいなと評価した。子供にはそう言っておいたので、そこそこ納得したようだ。
慶応は面白い大学だと少し興味をもったらしい。
なんにしてもこの「日本という国」はお勧めの本だ。さくさくと伝えたい事実だけを論理的に書いてある。
知っておくべき教養をこれほどきちんと書いた本も今どき珍しいと言えるほどだ。
私は昭和天皇の戦争責任まで子供にはなかなか伝えられない人間で何故かというとやはり昭和天皇
親しみがあるからだと思う。私は60年代も末期生まれだし残念ながら左翼的教育は受けていない。
教科書裁判も漠然と覚えているけど、中国大陸に「進出」か「侵略」か、も結局「進出」の記述で
教科書は習ったように思う。(でも時間数が足りなかったのでそこまでいってない気もする)
大体南京大虐殺イングランドで知ったような人間ですからね、どれほど戦後の戦争教育が行き届かなかったか、
生きた見本なんですよ、私は。
(それにしてもなんでヨーロッパ方面の人間は南京大虐殺を日本人より詳しく知ってるんだ?
私のまわりだけだったのか?)
そういう「私」が、、って書くと、自分がいかに「フツー」かって強調して単なる好き嫌いを
「正当化」しようとする「馬鹿」の見本になるのでやめておこう。
小熊さんの本は正確だと思いますよ、「事実」が堪え難い人にとっては許しがたいものかもしれませんが、
子供に与えるにふさわしい本であると私は評価します。評価は☆5つ!