「続ばらっちからカモメール、最後のラブレター」を読んだ。

結構かさばる「アジアパー伝」に始まって、色々読ませてもらってますがこの度初めてカモちゃんの文章を読む。
私は西原さんの漫画を読んでるんであって別に西原さんが描くこのカモちゃんなる人が本当はどんな人であるかなんて
知らない方がいいかな、と思ってあえて避けてたんだが今回ふと気がむいて読んだ。
感想、「西原さんはえらいなあ」。西原さんが作家としてえらいのはもう周知の事実でそのへんの怪しい「ジャーナリスト」より
ずっと見事に世間を斬ってみせた人だ。この人を妻にもつのは大変だったろう、正直。
でもカモちゃんの文章を読んでるといや、こんな男相手にようがんばった、それからよう捨てた、って西原さんにいいたい。
別にカモちゃんを非難してるわけではなくカモちゃんも内側に抱えたものと戦いながらがんばって生きてると思う。
勝谷よりこの人の方がジャーナリストとしてはずっと上だ。けど一緒に暮らしていくにはきつすぎる。
漠然とDV男だったようだし、西原さんのお金を使い込むこともあったようだし、私はだめです、こんな男。
ていうか、多分最初に出会って二秒で視界から消えるタイプ。
カモちゃんの書いたものを読む限りこの人は誰彼構わず、自分自身へも狂気を振り回す一番危ないタイプだ。
でもそんな人を相手に西原さんはどれほど赤裸々なことを書いてもどこかで温かさを失うことがない。
大体義理のお父さんや実のお母さん、まわりのヤクザな博打打ち、ほんまはえげつないはずやのに西原さんの手にかかると
どこかいい人に思えてくる、勝谷がいい例だ。人間の屑でさえ、人間として描く。どんな人でもできうる限り見捨てない、
大きな人なんだなあ。前に中村うさぎ先生が西原さんに出会って「尻子玉を抜かれた」と形容してたのを思い出した。
私は中村先生も西原さんに匹敵する人だと思ってたのにその人にこんなこと言わせるんだから、すごい、西原大先生!
かつて自分が愛したものを捨てることは大変だ。ましてやそれが人間ならば入り組んだ義理やら人情やらが一緒になって別れる時、
泥試合になってしまうのが普通と思う。そうした過程を描きながらどこかでやはりかつての愛情を仄かに薫らせる
西原さんの哀しみははかりしれなく深い。又カモちゃんの文章からもその哀しみに共鳴しているのがわかって、
いいコンビだったんだな、とちょっと感動した。神足さん曰く「挿し文」もたまには読んでみるもんやねえ。