加害者はいつも「弱者」か?

わたしにはちょっと信じられない話ではあるが、

ネットを読んでいると普通に「幸せそうな女が許せない!」人間がいるようで、

それを言うのが同性の「女」であれば「そういうときもあるよな」と

単に嫉妬の八つ当たりと理解もできるし、女性がそういう気持ちになっても

「誰でも良かった」と不特定多数を襲う事件はあまり聞いたことがない。

異性である男性が「幸せそうな女が許せない!」と言い出して

不特定多数を襲う正当な理由とするのは何故か、

何故、同性である「幸せそうな男が許せない!」にならないのか、

可愛い彼女連れで幸せそうな男性だってたくさんいるだろうに。

攻撃が異性である女性、それも若い女性に向かうある種の男性が持つ「特権」的感覚を

誰一人問題視しないのは何故か、むしろ若い女性を狙うのに共感の声さえある。

狙われるのは女の中でも「若い」女で、おばはんでは、ない。

おばはんの中にも幸せそうな人間はいるが、彼らはおばはんを襲わない。

女は「セックス対象」から外れるとどうでも良い存在にされる。

狙われないのはまことにありがたいので幸福に思うが、

女は年をとるとある種の男性からはほぼ人間以下に見なされるようだ。

「アンチフェミ」とか「インセル」とか騒ぐ連中はネットに多いものの、

その主張は、結局のところ

「この俺がセックスしてやっても良いと認識してやっているのに、気がつかない、

この俺とセックスしないのに、なぜか幸せそうにしている若い女たちは憎い」

と、妙に「俺」を意識高く持つ、異様な自尊心の高さがあるのではないか。

見ず知らずの異性を執拗に刺すなんてことは自信がなければできない。

あまり加害者を「弱者男性!」と思わないほうが良いと私は思う。

小田急事件の加害者男性の画像を見ると

異性から必ずしも敬遠されるタイプではないように見受けられた。

むしろそれなりの容姿であるがゆえに自己評価が高くて、現状がそれに伴わない、

20代はなんとなく自分をごまかしてやっていけるかもしれないが、

30代半ばになってくるとどうにもならない現実が迫ってきて、

社会生活を破壊するほど精神的に「狂う」タイプに思われる。

自分への評価がある程度高くなくては、他人に危害を加えてもかまわないと

思い込めないように私は思うが、

被害者に死者がいなかったせいか妙に加害者を憐れむべき!の声もあったりして

そのネット上の「お作法」にはうんざりさせられる。

続報では最初に襲い掛かったまだ二十歳の女子大生を「勝ち組女に見えた」

と称しているそうだが、単に「好みのタイプの女の子」だったんだろう。

被害者にかけらほども落ち度はない。

16歳も年下の女の子を襲って構わないと思い込む加害者、

それを「男が非正規の派遣だと女よりつらいんだ!」とするネットの声。

「加害者の気持ちがわかる!」なんてのは被害者を踏みにじる行為だ。

命に別状はなくとも身体に傷を負わされたまだ若い女性の親族はどんな思いをするか、

彼女のこの夏は意味もなく病院通いに費やされる、このコロナ下では通院も大変だ。

切り傷は治りにくく、かなり痛い。暑い時期は化膿の恐れも多分にある。

こんな不幸を見ず知らずの人間に負わせる加害者を

私はむやみに「かわいそうな弱者男性!」なんて言いたくないとここに。

 被害者の方々の早めのご回復を祈る。特に、若い女の子に。おわり。