アマゾンのレビュー欄に「ヘレンハルメ美穂にハズレなし!」と書いていたのに
若干の疑問を覚えた、アルネ・ダール「靄の旋律 国家刑事警察特別捜査班」
これは本国では連作となっているらしいが、私はこれ以上読む気はない。
テレビドラマ化を意識しているのか、やたら濡れ場が多い。
おばはんはおばはんであるので、ミステリに必然性のない濡れ場が入るのは好まない。
こんな読者サービスをされてもなあ、
ミステリーというよりはキャラクター小説を試みて失敗している感ありあり。
日本では2012年に出版されたあと、以下続刊ではないのもむべなるかな。
ヘレンハルメさん翻訳にも駄作はある。お仕事だしな。
作者のアルネ・ダールは本業は批評家らしいが評価が良い作品を産めるかは微妙。
この作品のシリーズではないものも翻訳されているのでそちらは読む予定。
アマゾンのレビューを読むとこの作品は映像化された方が原作より出来が良いらしい。
そういう作品は確かにある。
映像化作品の方ができが良い、と思われたのがタナ・フレンチの「悪意の森」、
彼女の作品を読むつもりはなかったが、マイダーリンが勧めるので読んだ
「捜索者」、これは本の雑誌、上半期のベスト1らしい。
「悪意の森」ほどドラマに比べて展開がもたもたしているわけではないので良かったが
この方は「ミステリー」のジャンルに入るべきなのか、
ストーリーテリングが抜群にうまいので読ませるものの「私小説」のようだ。
アイルランドのひなびた村に引っ越してきた、その土地に縁もゆかりもない
アメリカ人元警官が人探しに手を染める、という、ありがちであり、
話は異邦人の放浪譚でもあり、ただ、ひしひしと孤独が描けているので
星は4つか。アルネ・ダールの作品よりは良かった。「靄の旋律」は星二つ。
北欧ミステリにも駄作はあるなあ。
今年読んだ北欧ミステリのシリーズの大金星は
ヨハン・テオリンのエーランド島4部作、と特捜部Qシリーズ。
今年ももうすぐ終わり。充実のミステリ読書生活であった。