やさしさとお仕事と。

田舎の公立育ちで委員長気質だからか、

上の娘は今も「助けられることがわかっているのに助けない」のに

一抹の悲しみを抱えるようでなぜ鬼畜な母親からこんな優しい子が生まれるのか。

最近は就活業者がかっこよく聞こえるように「フロント」なんて呼ばれるが

実際は昔と変わらず「営業」職は、外資だろうがJTCだろうが人がすぐやめる。

それもあって「コネ」人材が混ざりやすい部門なんだろう。

3年どころか1年くらいでいつの間にかいなくなる人材に共通するのが

「何もしてくれなくても立場が上の人には爆感謝するのに、

実際に手を貸してくれた人には

「やってくれて当たり前、なんでずっとやってくれないの?」と考えている」点で

娘と同じ時期に転職してきて、あまりに仕事が出来ない「フロント」職を

純粋に気の毒に思ってあれこれ手を貸していたものの、一度として礼を言わない、

どころか「あの子、俺の言うなり、俺に気がある」なんて

わけのわからない思い込みを周囲に吹聴して、

さすがに周囲はその彼よりよほど賢いので「そんなことは絶対ない」と断言したものの

会議で同席すると妙に小馬鹿にする態度を見せたので、

きれた娘が彼が一番恐れている上司の前で爆発して見せたところ

次の日には見事なまでに「そんな人、いたっけ」の存在にされたようで

もともと、何故か上司に受けると思い込んで女性を馬鹿にする言説を

女性が同席する場で平気でする人間であったのも功を奏したか、

彼がいなくなっても現場は全然困らないのが露わになって娘は気の毒に思ったとか。

私は「自分の利になる時だけに手伝いなさい」と言って聞かせているんだが

娘はなかなかそれができない。

先日も、あまり業務と関係のない用を押し付けられそうになって何とか逃げたものの

それを別の人間が四苦八苦してやっているのを見ると手を貸してやりたくなるようで

でも手を貸して「それが当たり前」と思われるのにも迷惑する、

思うに、ある種の「自分で思うほどできる人間ではないのがわかっていない」人間に

共通するのがネットなどにある「職業差別」を本気で信じている。

「フロント職の俺はえらいからバックオフィスが俺の言うなりになるのが当たり前!」

などと、業務も扱う領域も違っているのにたまにバックオフィスが手を貸すのは、

自分の仕事がまとも出来ないアホが煮詰まると次の段階に仕事が進まなくなるからで

本当は同じ職に就く先輩や同期が手を貸す場面なのに、

それをしてもらえない時点で「お察し」人材であるのだろう。

娘は「手を貸すのは簡単なんだけど、次もやってくれる!と思い込むから」

「それに私が困ったとしてもその人が助けてくれることは千パーセントないし」

「そもそも、私が仕事で困る場面ってほとんどないし」と言いつつ、

出来ることをしないでいることに煩悶する娘に

仕事を続けたわけではない母ちゃんは何も言えないでいるのであった。

アテクシは何かあると仕返しをするのにためらいのない人間であったので

こういう人間はあまり社会に出ていない方が良いのかも、と思ったりするのでした。

おわり。