「10万円」というお金。

次々課金してトータルで10万円支払っていた、ってことかもしれないが、

「10万円」というお金は一般的には学生が簡単に出せる額ではないと

私は思うので、就活テストの替え玉を頼んだ女子大生はどういう感覚だったのか。

ネットの記事によれば様々な企業のテストをお願いしていたとかだったけれど、

一度として自分で受けてみよう、とは考えなかったものか、

そういう学生に内定を出した企業があったとしたらむしろどこか聞きたい。

世間では「大企業に就職できるなら10万円くらい安いもの!」と思う人間が

居るのかもしれないけれど、一般的に大卒者の初任給は4月にもらえたとしても

手取りで10万行くか行かないか、企業によっては4月はまだ半月しか

働いていないので5月が最初の給料になるところもあり、

それでもやはり手取りで20万円あればよい方で、

働き始めてすぐ手に入る給料の額のほぼ半分を平気でよく知らない他人に支払う

「学生」自身に10万円の価値があるか、と考える私はあまりに辛辣か。

自分が社会に出てまずまともに稼げる給料の額がいくらなのか、

それに比して支払う額が妥当かどうか、考える頭もない学生にはあきれ果てる。

そして請け負った側の男のことだが「喜んでもらえるのがうれしかった」とは

一見美談で「たった400万程度で本職を失うなんて、」などと

うそぶく就活業者も見かけたが、たった数か月で400万円前後とは、

本職の年収とさほども変わらない額を稼いだことになる。税金もかかってない。

「〇電」の職を失うことも実はそれほど意味はないだろう、

3年以内に辞める人は多い、インフラ系はどこもきつい。へき地への転属もある。

故に「ばれて辞めさせられてもどうってことない」と思っていても不思議ではない。

私がこの二人に同情もなく腹立たしいのは、あまりにも人として「クズ」すぎるから。

ネットで検索してよくわからない相手に自分の人生を簡単にゆだねる、

山ほどの応募者をある程度ふるい分けられると考える企業側を欺くのに

ためらいがない、自身がすでに大企業の一員となっているにもかかわらず。

なぜ、こんなにも社会を舐めてかかれるのか、というよりは舐める以前の問題で

「悪いことをしている」の意識すらない、

そのあまりにも恵まれすぎた感覚に私はめまいすら感じる。

本物のド田舎で真面目一方で育ち、真っ正直に就活にも立ち向かい、

なんのコネもなくとも四苦八苦しながらなんとか職を得た私の娘たちが

あまりにも哀れに思えてくる。

「みんながやってる!」というのなら、私の子供たちだけが苦労して

ただひたすらに一生懸命やっている「馬鹿」なのか、

私は自分の子供たちを馬鹿にされる筋合いはないので、

簡単に「ネットで見つけましたぁ、みんなやってるので私もお金を使いましたぁ」だの

「ま、あんなテスト、余技みたいなもんだし、人に喜ばれるしね」と

「よいことをしている!」と言い出す人間を心から軽蔑するし、糾弾したい。

田舎から出てきた自分の能力だけが頼りの子供たちはみんな就活で苦労する。

でも私はまだ「就活、お手伝いします!」を使って就職できた!なんてのは知らない。

みんな大学の就活指導にきちんと出席して大学の単位も真面目にとって

決してきらびやかではない会社でもそこそこのところで働いて続いている。

就活での「ズル」に「10万円を払う人間」がどういう人間か、

私は見逃すべきものではないと考えている。腹立つ。おわり。