「ミステリを翻訳家で選ぶ!」がずっと当たりだったので、
フォン・シーラッハを翻訳した酒寄進一氏の「弁護士アイゼンベルグ」を読んだ。
感想は、「、、、、、、、」。シリーズものではあるがもう読むことはあるまい。
諸々つっこみどころ満載でなんともはや。テレビドラマシリーズを書いていた人なので
映像化を狙っているんだろう、主人公はやりて女性弁護士。
ドイツものだがアメリカっぽい。なんとなくあざとい。
酒寄氏に裏切られた気分の私は創元推理文庫の紹介にあった
「忘れ去られた花園」を選んで、この翻訳は青木純子氏、
多分この方の翻訳をどこかで読んだことがあるので「ミステリ地球紀行」は
ドイツからオーストラリアに乗り換えることにした。
紹介文で英国児童文学を踏まえて描かれているとあったので、
てっきりオムニバス形式の短編集かと思ったら分厚い上下巻。
しかしまさに「巻を置く能わず」であっという間に読めてしまった。
英国の児童文学で育ったならば大変面白く読める。
オーストラリア人が描く英国・ゴシックロマン、と言うわけで、
こういう「物語」のジャンルがまだあったのかー!とうならされた。
創元社ではあるものの、ミステリではない。
最近終わった朝ドラの「娘三代100年物語」よりも長い、
ほぼ「女系5世代」物語。主人公は祖母と孫娘ではあるものの、
それ以外の係累がまとわりつきながらミステリではない「物語」を構築する。
様々な児童文学を含む英国文学を網羅しているような、
こういう衒学的な物語は流行っているのかね?サラ・ウォーターズがそうだし。
題材からわかるように「秘密の花園」であったり、少々「ディケンズ」であったり、
ブロンテ姉妹の物語、私は兄が妹に抱いた異常な執着心は「嵐が丘」を思い出させ
寄る辺なき孤児の末路として「ジェーン・エア」風味でもあった。
しかし〇〇家はどうも女性ばかり生まれて、
しかもたまに生まれた男性はふがいないという、やはりこれは「呪い」ですかね。
あとがきで翻訳者が突っ込みどころをあげていて、うむうむ、と私も思ってしまった。
しかし良く出来た娯楽本、「アイゼンベルグ」よりははるかにましであった。
原題は「THE FORGOTTEN GARDEN」ケイト・モートン作。
星は英国文学好きな人には星5つ。はずれのあとに当たりが出てよかった。おわり。