映画感想・「ゲットデュークト!」

「get duked!」とはどう訳すのかちょっと見当がつかない、英国産らしいおバカ映画。

「ホットファズ!」を見た人ならば面白いとのことでアマプラで視聴。

この手の英国産無茶苦茶映画を見ると必ず「う〇こ」ネタが出てくる。

これならまだ「クレヨンしんちゃん」のほうがよほど上品だよな、と思われる。

英国で「クレ・しん」はうけるんじゃないかな。

しかしこのバカ映画は以前見た「ライオットクラブ」よりは

はるかに心温まるブラックコメディ。

どうしようもない馬鹿3人組があまりにあほなので懲罰としてスコットランド

本当に存在する「エジンバラ杯」なるオリエンテーリングに参加させられる。

この「エジンバラ杯」はロンドンなど都会に住む子供たちが

ハイランドの自然に触れられるよう開催されているらしい。

大自然の過酷な道のりを「チームワーク!」で乗り越えよう!の崇高な精神なんか、

かけらほども持たないおバカと、

これを楽しみに参加してきた情弱真面目君一人とともに4人で冒険の旅に

出ていくのだが、この真面目君は「ホームスクーリング」なので、

おバカがいかにお馬鹿かを全然知らなかったりして、悲惨。

そのドタバタがありがちなんだけれど、道のりの途中で多分貴族の年寄りが

「狩り」と称して若者たちを本気で襲ってきたりして、まあ大変。

それから逃げつつ、またハイランドがいかにド田舎かを現す警察の間抜けっぷりを

ちりばめつつ、3馬鹿プラス1は道なき道を進むのであった、、、、

で、この話の中で面白いのが真面目君が「ホームスクーリング」である点で

恐らく3馬鹿のようなろくでなしと交わらせたくない意識の高い両親のもと

家庭で教育を受け、ハイクラス大学を目指して推薦枠をもらうために

エジンバラ杯」に参加している。これは現代英国でありがちな話なのか、

またヒップホップのイケてると思い込んでいるイスラム

(に見えるがたぶん出自はインド)は本物の馬鹿二人とつるんでいるが、

実はこの子が最も良家のご子息らしく、「ツタの絡まる家」に住み制服のある学校

(私立)に通っていた設定で、「ヒップホップ系のユーチューバー」として

つっぱっているのがミエミエだと3馬鹿の中で最もカンの良い子には見抜かれている。

早くも社会階層に気がつき人生に絶望を見出している3人の中で一番カンの良い子は

「俺は親父の工場で6ポンド50セントで一生働く」と繰り返す、

このやるせなさは若い世代に共感を呼ぶのか、

親父の工場で働くことがそこまで絶望的とも思えなかったのは

私が昭和生まれだからか。

子だくさんの白人家庭で放任されている3馬鹿の中で本物の純・馬鹿の発想が

群を抜いておかしく、破壊的行動力もあり、

彼がまともに教育を受ければ一番大成しそうな感触を持つおばはんであった。

真面目君はユダヤ系、「工場で働く」子はラテン系、純馬鹿はロシア系のような、

この見分けは日本人には難しい。

現代英国の若者の苦悩(?)をちりばめつつ、無茶苦茶なつながりで話が完結する、

案外、面白い、良く出来た映画であった。

引率の先生が「シャーロック」で嫌味な鑑識を演じた俳優さんで、

この人はこういう損な立場の役が多い。

3馬鹿プラス1のそれぞれ4人の俳優さんたちはこれからを期待される若手のよう。

見て損はない。タイトルがわかりにくいので星は4つかな。おわり。