ドラマ・「ダメージ」流し見感想。

配信サービスで流し見するとどんな良いドラマでも粗があるように感じる罠を

考慮しながらこれからのドラマは作られていくのかもしれないなあ、が感想。

1週間に一度楽しみに見るにはドキドキ、ハラハラで面白いつくりになっているが

現在、コロナ下ですることが限られてなんとなく音がする、音楽もかかる、程度で

だらだら見てしまっては、良いドラマ作りのハードルはかなり高くなるような。

1時間、1話完結の「ザ・クラウン」などは良く出来ている。

流し見にも耐え、テレビ放送にも耐えるだろう。

「ダメージ」はシーズン5まであって、すべてのシーズンで

最初に「現在」として大きな事件が起こったことをにおわせる。

事件が起こったクリスティいわゆるところの「ゼロ時間」だけがぼかされ

ドラマは過去と現在を行ったり来たりする。それはたいそうスリリング。

しかし5シーズン続けるとことの予測がつくのが難点か。

基本的にはグレン演じるやり手弁護士パティが巻き込まれるごたごたは

彼女の日頃の行いが悪いせいなので共感できない。

ほぼ娘世代の相手役エレンとの対立はほとんど「嫁・姑」バトルで仁義なき戦い

そう思うとこのドラマは若干コメディ要素もある。

アメリカの弁護士ドラマを見るようになって

アメリカの一般庶民とはかかわりのない大都会のハイソな弁護士ドラマが

何故、飽かず何度も作られるか考えるとファッションのタイアップか、

「グッドワイフ」でも「スーツ」でも、登場人物の服装、ライフスタイル、

すべてに金がかかって、使われるものの広告として良く出来ている。

イマドキのアメリカでこうもスーツが頻繁に出てくるドラマは弁護士ドラマしか、

ないだろう。「スーツ」なんかは「まんまやんけ」という感じ。

「ダメージ」に話を戻せば、米国の訴訟が必ずしも正義のみで行われるわけではない、

正義もまた「広告」次第とわかって感慨深い。日本も既に同じなのも納得だ。

ちょっと不思議に思ったのは、「グッドファイト」でも冒頭、

投資詐欺に弁護士である主人公が引っかかってほぼ破産との宣告を受けるが

これと同じことが「ダメージ」のシーズン内にあって、

定職についている、それなりの高給を得ている人間が、

なぜ投資失敗で一気に破産状態になりうるのか、米国では分散投資はないのか。

私は金融知識がないのでマイダーリンに聞いたところ、

米国ではおそらくは「貯蓄」の概念はなく借金をしてでも「投資」につぎ込むのが

資産運用で、ゆえに定額収入があってもいったん投資が滞ると

債務超過になるのではないか、生活は自転車操業で成り立って、

担保を重ねながら「資産を増やす!」になっているんじゃないか、と、

「グッドファイト」の中でも投資運用詐欺に引っかかった弁護士が会計士に

いったん資産整理をして手放せるものは手放しましょう、と提案され従うが、

「ダメージ」の登場人物は妻にそれを反対され、私は「はて?」であった。

「何もかも手放せない!」と主張する妻は自身の親たちの年金もその投資運用詐欺で

吹き飛ばした設定で、じゃあ、もうどうしようもないやんけ、と不思議であったが、

「子供を公立に通わせることを考える」提案に悲鳴を上げるシーンに驚いた。

まだ小学生くらいの子供なのに「私立じゃないと!」って、

これもマイダーリンに聞いたところ、

ニューヨークの公立小学校は下手したら字も読めない、恐ろしく低いレベルなよう。

世界で最も裕福な米国でなにをやってるんだか。

日本の識字率を思うと「日本、もうオワタ」なんて言ってる連中を

逆さづりにして火あぶりにしてやりたい。

ほとんどの日本人は公立で育つが字が書けないわけではないし、

「大学いけないとおわり」なんてこともない。

アメリカの有名大学が私立で法外に高い授業料を思うと、

まだ「日本オワタ」でないことは確実。

「日本オワタ」を言うのは学歴も職歴も起業もすべてが親がかりの人間である事実が

ドラマ化されないのはあまりにわかり切った話で面白くないからだろう。

ま、「あほな金持ちの子ほど「ビジネス!」と言いたがる」では身もふたもないしな。

ドラマ「ダメージ」は古いが良い作品ということで。

いくつか面白い点もあったのでまたそのうち感想を書く。おわり。