小説・「パトリック・メルローズ」・終わり(飽きた)

5冊読んだから5つ書くかとも思ったが、とっくに本を図書館に返しているので

気になったことが確かめられない。またそのうち借りる機会があれば書くか。

実の父親から息子が一定年齢になるまで性的虐待を受けた話は

萩尾望都の「残酷な神が支配する」を思い出させて、

これは母親の再婚相手の義父から性的虐待を受ける少年の話だったが、

その後、少年が長年苦しむのは「パトリック」と同じになる。

私は最後までこの漫画を読んでいないので、萩尾ファンというだけで

この陰惨な漫画を根気よく読んだマイダーリンに結末を聞くと

一応救済はあったそうで、なんにせよ、

萩尾先生、「パトリック」より早くに書いているのでやはり天才。

しかし「残酷な~」は結婚相手の息子で血縁ではない相手を虐待をするのに対して

「パトリック」は実子なのでこの異常性はどう受け止めていいのやら。

「パトリック」に、父親の古い友人で最後まで生き残る「ニック」は

最終章「アトラスト」では実の娘に性的虐待をしていた事実を暴かれる。

要するに「類友」がいた、その環境は恐ろしいという以外ない。

この「ニック」は何度も結婚し、中には娘より若い相手もいて、

欧米の中~上流層の「ロリ」というより「ペド」と吐き捨てたいような、

金にものを言わせて子供を性的に消費する事件が山のようにある現実を

私に思い出させる。

 日本でも最近裁判で、実の娘に性的虐待をした父親が有罪になり

そのあまりにもおぞましい犯罪にぞっとさせられたが、

「パトリック」の中でもパトリック以外にも父親の被害者がいたように

この手の犯罪者は自分の子供以外にも手を出しているのではないか、

私は余罪を調べてもらいたいと願っている。

自分の子供を性的に消費する人間がほかの子供にもしないわけがない。

実際、昭和に雑な子供時代を過ごした私には、

奇妙なそぶりを見せた「同級生の父親」の情報を子供同士で共有した経験がある。

「おかしい」は子供同士では話せるが大人に話した記憶はない。

子供は大人に話しても無駄だとわかっていた気がする。

「おかしな父親」の子供は今にして思えばやはり何かがおかしかった。

彼らのその後を現在地元に住む私は知らない。

話を小説に戻して、性的消費の相手に自分の子供を選ぶのもためらわない

異常者の告発を著者は「パトリック」でやっているのか。

その被害者であった元子供にとってこの小説、ドラマは救済になるんだろうか?

なると思うには小説はあまりに複雑な構造で

著者は恐ろしくプライドが高く、孤高を好み、超然としている。

その生き方はきわめて個性的で共感を呼ぶのとは違う気もする。

ところで、パトリックの父親の名前は「デイビッド」で「デイビィ」、

つまり「デビル」を模し、その悪友「ニック」は「オールドニック」と

「悪魔」の別名なので、このネーミングはわかりやすい。

ちなみに「パトリック」はアイルランドキリスト教を広めた聖人の名前である。

久々に長い本を読んだので感想も長くなった。

私はドラマを見たので面白かったが、万人向けではないので星は3つ。おわり。