映画感想・ケネスブラナー版「オリエント急行殺人事件」

ケネス・ブラナーは英国を代表する名優でローレンス・オリヴィエの再来とも、

とウィキにはあるが、私はこの人の映像作品は「ハリー・ポッター」シリーズ以外は

どれも「?」なので、本作品も「誰得?」映画にしか見えなかった。

「ケネスブラナーのケネスブラナーによるケネスブラナーのための!」

作品であることは間違いないんだが、この人の魅力を私に教えて、プリーズ、

といつも思う。「なんで、ここでケネスブラナー?」は

「刑事ヴァランダー」シリーズでも感じてどれほど原作が名作であっても

「ヴァランダーがケネスブラナー以外なら良かったのに」と考えてしまう。

「名優が!名優を演じている!」って理解でよいんでしょうかね?

私はクリスティーの映像作品を大体見ているので

いろんなポアロを経験してきたが、ポアロが推理するというより、

「ケネスブラナーがなんかやってます」にしか見えなくて

どこの誰がファンでこれを映画館まで見に行ったのか、

最近すっかり悪役が板についたジョニー・デップを見たい人でもいたのか、

でもすぐ殺されるしな、そこで「帰ろうか」になっても良いのかもと考える。

オチは有名すぎて誰でも知ってるしね。

近年、アガサクリスティーの子孫がテレビ局の重役で

彼女の作品の版権が切れかけていることもあってか、

様々な解釈のクリスティー作品が映像化されて、よしあしはともかく、

ジョンマルコビッチのポアロ役なんかは、新機軸として興味深い。

しかしケネスのポアロにはそれもない。

ジェレミー・ブレットの「シャーロックホームズ」と同じく

聖典」と呼ぶべきデイヴィッド・スーシェの「ポアロ」は

世界中のファンが持つ「ポアロ」像を見事に演じて、

どの作品も原作にほぼ忠実に映像化されているのも素晴らしい。

しかし「オリエント急行の殺人」だけは、原作とは違う、

スーシェ・ポアロが「私刑」が正義であるのかを責め立てるシーンがあって

復讐を野蛮として見ていたクリスティー自身の考えを推し量ったようだ。

この繊細な解釈を私は好むが、ケネス版ではこのあたりはぬるっとスルー。

まあ一応「正義!」をケネスが言い立てるシーンはあるものの、

そもそも、少しづつ登場人物の設定を変えていることもあって、

その正義すらもケネスらしく(?)自己満足的だった。

原作の良さを少しづつそぎ落としたいまいちな、ケネスが好きならどうぞな作品。

私はオリエント急行の食堂車でゴディバのロゴが目立ったのが印象に残った。

ちなみに最近、ローソンのゴディバコラボスィーツを食べたが

クーポンでもらった「バスチー」のほうがうまかった。

ま、どうでもいいわ、ケネス。

でも続編が出来るらしい。ケネスの魅力がわからん私は、星2つ。

私は古いが1974年版を推す。

原作に忠実でロシア貴族の老婦人と、ハバード夫人が素敵だった。

「ミセスハバード」はマザーグースの歌に出てきたな。

この名前の物悲しさは原作を読んだほうがよくわかるかも。

今回のミセスハバードは新解釈過ぎていまいちだった。

若かりしころはイケイケねえちゃんだったミシェル・ファイファー

立派なおば様になって、それは良かったが、他作品でもそうだしな。

私は何故、こんなにケネスとそりが合わないのか、

ハリー・ポッターシリーズの「ロックハート」役は他がいないほど

はまってるんだけどな。おわり。