映画雑記。

CSでやっていた「寝ても覚めても」を見た。

今回の件で色物に見られる映画だが、なかなか良い。

特に主人公の唐田えりかちゃんが大変良い。

おそらく、唐田えりかちゃん、ありきの映画ではないか。

この子の不思議な存在感があってこその作品で、叩かれて消えるのは残念。

元々私が気に入っていた女の子であるからかもしれないが。

相手役の東出君も二役の不気味さも良いんだけれど、

この役は他の俳優でも置き換えられる。

でも唐田えりかちゃんの不安定な女の子の役は、この子以外では考えられない。

何を見ているのかわからない、どこかにふわりと消えてしまいそうな、

存在そのものの不確かさがひっそりとした判りにくい美貌の持ち主である

唐田えりかちゃんにぴったりだ。

この役を他の若手女優さんに出来るとは思えない。

映画は贅沢な作りで山下りおちゃんや伊藤沙莉ちゃん、瀬戸康史君など、

若手の実力派俳優が脇を固めて、その一人ひとりが主演でもおかしくない、

確かな存在感に比して、モブの一人でもおかしくないおとなしい雰囲気の

唐田えりかちゃんが別世界の人物であるかのような、

主人公以外が笑ったり怒ったりする場面がどこか何かを隔てて見えているような、

主人公の脳内でのみ再生されている世界のような、

まさに「寝ても覚めても」同じ世界、

生そのものが不確かであるのを思い至らせるほどの茫洋とした世界観が、

彼女の存在で明らかになるようだ。

唐田えりかちゃんはとても良い女優さんのように思うのだけれど、

消されてしまうのかね?もったいない気がするな。これだけの女の子を。

彼女の美貌は現代的ではないけれど、おそらくどの時代においても

どのような男性にとっても「気になる女性」になるだろう。

この魅力は、同世代の女性には、わかりづらい気がする。

そしてわかっても反発を招きがちではないか、

彼女の魅力に男性がとらわれたら最後、いつまでも魅入られる。

このような魅力は本人が意図してできることではないので、難しい。

なんとなく、むしろいつまでも東出君に執着されてしまった、

気の毒な若い女の子に私には思えて、悲しくなった。

良い映画作品なのでもっと見て欲しいし、二人をあまり叩かないでほしい。

勧めたら叱られるかもしれないが、星は5つで。

美しい青春映画だ。