「ザ・丸の内!」と「ザ・おばはん」、、、

週末上京し用事を済ませたあと

マイダーリンリクエストに応えて娘の勤務先を偵察に行ってきた。

「ザ・丸の内!」エリアにある壮大なビルで田舎モノのおばはんはポッカーン。

下の娘は「ザ・丸の内!」が苦手で、上京するとき渋い顔になる。

先日の内定式は

(とは最近あまり言わないようで「内定者召集」の言い方をするところも)

その前日、実験がうまくいかず不機嫌だったので

事務系キラキラ女子が「来年からいよいよ私たちも丸の内女子ね」なんて話すのを

「へっ」てな感じで聞いていたりして、どうも「東京の大学出身就職組」の

娘曰く「いきり散らかした」感が好きになれないらしい。

「まあ、基本、二つも年下の女の子だし、しかたがないと思うんだけど」と

「大人」の対応をしているんだけれども、

技術系内定者召集が先に大阪本社であったので男子学生と交流があり

全内定者交流のとき次々男子学生たちから声をかけられたのを不審がられて

女子たちからは若干の塩対応されたよう。

最終的には娘が技術系採用であると彼女たちにわかって納得してもらったらしい。

「戦いはここから始まってたわ、ママ」と、恐るべし!ザ・丸の内女子!!

というのはともかくとして、娘が「ザ・丸の内!」を苦手とするのを

不思議に思っていたが、行ってみてわかったわ、私も苦手かも、「ザ・丸の内」。

以前、壮大な線路を見るために東京ステーションホテルに泊まったとき

オープンバスで皇居をぐるっと周遊した程度にしか丸の内を知らず

このたび駅から降りて広大な地下街を自信に満ちた方向音痴の私が

根拠のない気合だけでビルを探してあちらこちらに出没して

「ここかー!」と上がるとぜんぜん違う場所に出たりして、

何故か東京會舘に出てちょうど売店があったのでクッキーを買ったりして、

そうするとどこからともなく「いきり散らかした」おばはん集団が

「アラ、このクッキー、懐かしい、どうのこうの」と

買いもしないのに寄り付いてきたりして、

買うんだったらどうぞと場所を空けたのに、

誰もいないと店に入ってこられないおばはんたちが

私がいるので見物だけしに来たよう。

と、言うことは、丸の内、結構な田舎モノで構成されてますわ、

観光地だものな、てなことが2~3度ありましたわ、

なんなんだ、あの小奇麗な身なりをしているのに下品なおばはん集団は。

再び地下にもぐるとスマホ片手に大声で「丸ビルがどうのこうの!」と叫ぶ

これまた「いきり散らかした」小奇麗な身なりの若者がいて実にうっとうしい。

「ザ・丸の内にいる俺!」的な雰囲気をかもし出す、

心ざわつくいやーな雰囲気を持つ人がそこここにいて

えぇえぇえぇ、と思ったのは神経質すぎか。

そういう連中が目立つというのはもっとまともな人間のほうが多いわけで

人目を引く不可思議な人間以外を探すと

ごく普通の身なりのちゃんと仕事してますな人たちもひっそりと存在して、

安心した。

絵に描いたような「ザ・丸の内外資系OL!」な人も見かけたりして、

でも、そんな風に見えない人たちのほうが本物に見えた。

普通の身なりをしている人はぶらぶら社員証をぶら下げて歩いてないんでな。

そのほうが賢いよな、少なくともうちの娘は外に出るとき社員証は必ずはずす。

どこの誰かを不特定多数に知らせて歩くなんて危険でしかない。

話を戻して、「ザ・丸の内」をうろうろして私が抱いた違和感を今考えると

どこを歩いても同じようなビルしかない、「企画どおり」の無機質さが

普通の人間には居心地の悪さを覚えさせるんじゃないか、

基本、ここの設計を担っている三○って、

高知のど貧乏なおっさんがムリくりになりあがってできた会社だもんな。

それそのものは立派だが、漂う成り上がり臭は独特だ。

間違って上がったついでにぐるりと見物したビルは一角が大きなガラス張りで

その中では食事している人が外から丸見えで、

私は他人から見えるところで食事する人の気が知れない。

しかも席は3時近くだったのに小奇麗な身なりの爺さん婆さん世代で満杯、

気まずい気分でとおりすがる私には中にいる人々が動物園のサルに見えたりして、

いや、むしろ一人そんなところを通りがかっている私のほうが中の人には

ガラス越しの動物園のサルに見えるかね。

これ見よがしが満載な街の雰囲気は働き始めるとまた違って見えるのか、

下の娘は東京本社所属でも働く場所は地方になるのでほっとしているよう。

「たまには行かないといけないんだろうけど、できればずっと工場勤務がいいなあ」

などと、あまり「ザ・丸の内!」をありがたがってない。

素朴な地方育ちで就活をするまで「丸の内?それってお菓子の名前?」みたいな

うちのお嬢が作業着を脱いでしぶしぶ就活スーツを着て

「ザ・丸の内」オフィスに何とかたどり着くまでに色々あったのかもしれない。

おばはんも半日いただけで疲れたわ。

私は霞ヶ関周辺の古色蒼然たる雰囲気のほうが好きかも。

あれはあれで問題はあるんだろうが。

下のお嬢は他人から受けた不快感を「いきり散らかした」と表現するが

その表現がちょうどよさそうな人間をよく見かける場所だったわ、丸の内。

そんな人間が目に付くということは、私もそんな人間の一人だとの反省をこめて

とりあえず、マイダーリンのリクエストには応えられたのでした。おわり。