映画感想・「シン・ゴジラ」

最近、ネットの「シン・ゴジラ」熱が冷めてきたようなので、感想をこそっと。
「平成風味のついたド昭和映画」って感じ。
無機質な熱血と言うか、基本的には「3丁目の夕日」を見るかのように楽しめる。
あの情け容赦のないゴジラの壊しっぷりは十分平成のお子様にトラウマを植え付けること、間違いなし!だが、
「最後に一生懸命な大人は勝つ!」の安定感があるので、子供も楽しめるんじゃないかな。
ただ、映画館で「リアル・子供率」は低かった。見る限り「昭和の大きなお友達」ばかり。せいぜい、20代前半が最若手か。
そこで暗澹たる思いに駆られるおばはん、この映画で一番怖かったのはそこかも。
映画に戻せば、展開がディズニー映画のように速いので、飽きる暇がない。
私が感心したのはあっけなく政府高官が一気に死んでしまうこと、普通、あれだけ出てそれなりに感情移入も見込めた人間集団を
あんなにもあっさり片付けてしまうとは、しかもその悲劇へのだらだらした悔恨や慟哭もない。
さくっと終わらせて次の展開に入るのは、「リアル・世の中」はそんなもんだが、映像化するのがすごい。
日本映画は感情表現が冗長だからこういうのも「あり」か。
そして何より主人公の「長谷川博己」あっての映画だ。この俳優の得体の知れなさはすごい。
私はいつ「長谷川博己」が石原さとみ市川実日子の手をとって歌い舞い踊るのか、
いつの間にか「ミュージカル」に変わるんじゃないか、と最後までどきどきした。
そういう「キレ」っぷりが望める俳優さんで、彼の持つあの「ハラハラ」感は私だけが持つものか。
たとえ彼が唐突に朗々と歌い始めたとしても、なぜか説得させられてしまう、私は長谷川博己は唄って踊る人だと勝手に思っている。
よくよく考えたら、杏ちゃんの相手役だったときの「デート」でしか彼を見たことがなかったのだが、あの奇妙に浮いた存在感、
ドラマの中でよく歌って踊ってた印象が強いので、そう思ってしまうのか、私には謎な俳優さんだ。
なんにしても、何を考えているのかよくわからない人間の存在感あっての物語に思えて、
彼以外であの役を演じられる人はいたんだろうか?と考えた。
彼以外では、熱血な無機質が大分そがれただろう。
石原さとみちゃんや市川実日子の変わりはいくらでもいるだろうが、長谷川博己以外の主人公は考えられない。
私の感想はここまでかな。ゴジラは以前見た「むとう」ゴジラよりは今回の造形のほうが不気味でよかった。
パシフィック・リム」云々と、オタクなマイダーリンにつれられてしぶしぶ見たこの手の作品の中では最も楽しめる映画だったのは間違いない。
私は「エヴァ」にも何の興味もないので、そういう人間でも最後まで見させたのはすごい。おわり。